武蔵野線、ジャカルタを走る。

特集

輸送概要

車両系統 武蔵野線 205系
輸送車両数 8両1編成×42編成=336編成
車両長 約21メートル
車両幅 約2.8メートル
重量 約30トン/両
輸送区間 新潟~インドネシア(ジャカルタ)
輸送期間
  • 2018年3月~2020年10月を予定
  • リンコー請負期間(車両預かり~出港)
    レールオフ(新津引取)~臨港埠頭留置き:1編成3日工程
    船積周期:3編成24両を約2~3ヶ月
    船積:24両(準備1日、作業2日の計3日工程)

STEP1 電車を陸送する

車両の入れ替えに伴い、日本で廃車になるはずだった車両に再び命を吹き込む業務が始まった。生き返る場所は、新潟から約6,000キロ離れたインドネシアのジャカルタ。そこではインフラ整備が遅れ、特に鉄道整備が急務とされていた。そこで、レールの規格が同じ日本から古い車両を送り再利用することが決まった。JR武蔵野線での営業を終えた車両は補修されたのち、随時、新津車両基地に牽引されてきた。

ここで車両はレールを離れ、「巨大な貨物」となる。つまり、トレーラーに詰め込まれて、積出港の臨港埠頭を目指すのだ。1編成8両の車両を1両ずつ、この日のために用意したクレーンで吊り上げ、マルチトレーラー4台に積み込んだ。車両の全長は25メートルプールとほぼ同じ長さ。その大きさと重量から小回りはできない。交通量が減る23時を待ってスタートした。

STEP2 障害を排除する

こうした特殊車両が一般道を通る際には、関係省庁への届け出が必要。また、事前に通行予定の道を地図で確かめ、曲がれるか、障害物はないか、夜間工事はされていないかを確かめることも欠かせない。今回は、車両基地から一般道へ出る部分が曲がり切れないと分かり、あらかじめ出入り口を拡張する措置が取られた。

冬期間の輸送では、除雪された雪が路肩を塞ぎ、トレーラーが通れない区間が発生。輸送前日までに路肩の雪を運び出し、万全の状態を作った。雪以外にも障害物はある。季節が進み、道路わきの街路樹が枝を延ばせば、それも障害物になるのだ。そこで不測の事態に備え、今回の輸送ではショベルカーにトレーラーを先導させることにした。

STEP3 電車が船に乗る

新新バイパスを経由して約1時間後、トレーラー4台は予定通りに臨港埠頭に到着。車両はクレーンで降ろされ、埠頭内の仮置き場に安置された。夜間の輸送は何回か繰り返され、3カ月後、予定輸送量台数に達したところでまとめて通関。いよいよジャカルタ行きの船に積み込まれる日が来た。

大型重量物を運ぶための大空間を持つ船内では、航行中に移動しないよう固定するロープを縛るアンカーを溶接し、車両輸送専用にカスタマイズする。現場には、溶接担当4名、クレーンオペレーター2名、トレーラーオペレーター1名、リンコーの作業員30名、現場管理者が集結し、それぞれの仕事を行った。やがて、車両24台が整然と積み込まれた。

STEP4 電車が海を越える

2018年3月に始まった日本からジャカルタへの車両輸送業務は、2020年10月まで続く。総輸送車両は336両。決して簡単な仕事ではないが、社会的意義の大きな仕事だ。リンコーはこれまで培った特殊車両輸送のノウハウと技術を活かし、鉄道を待つジャカルタの人々のために業務をを推進していく。それは、リンコーにとっても貴重なチャンス。この経験が社員たちの成長につながると信じている。

リンコーの使命は物流を通して社会のインフラを構築すること。新潟で、日本で、世界で。
次に運ぶものは? 運ぶ場所は? そのために超えるべきハードルは?
それを決めるのはあなたかもしれない。